5月22日~6月5日までフランス・パリで行われた、全仏オープン。男子シングルス優勝にはクレーコートのキングこと、ラファエル・ナダル選手(スペイン)が輝き、グランドスラム最多勝利数を22に伸ばしました。
近年テニス界を引っ張ってきたのはナダル選手、ノヴァク・ジョコビッチ選手(セルビア)、ロジャー・フェデラー選手(スイス)、アンティー・マレー選手(イギリス)のいわゆるBIG4ですが、最近は勢力図も変わってきています。先日行われた全仏オープンでも19歳のアルカラス選手がベスト8入りするなど、若手選手の台頭も目覚ましいものがあります。
そこで今回は全仏オープンの結果を、注目選手5名に注目しながらまとめていきます。
5人の注目選手の結果
今回の全仏オープンだけでなく今後のテニス界を間違いなく牽引していくであろう選手は多数いますが、今大会の注目選手は次の5選手でした。
- ノヴァク・ジョコビッチ(セルビア)
- ラファエル・ナダル選手(スペイン)
- アレクサンダー・ズベレフ選手(ドイツ)
- カルロス・アルカラス選手(スペイン)
- ダニール・メドベージェフ選手(ロシア)
言わずと知れた、まさにオールスター揃いの面々ですよね。ここからは、この5選手について、1回戦からの勝ち上がりスコアもあわせて紹介していきます。
注目選手①ノヴァク・ジョコビッチ(セルビア)
- 1回戦:対 西岡良仁選手 3-0(6-3 6-1 6-0)
- 2回戦:対モルチャン選手 3-0(6-2 6-3 7-6(7-5))
- 3回戦:対ベデネ選手 3-0(6-3 6-3 6-2)
- 4回戦:対シュワルツマン選手 3-0(6-1 6-3 6-3)
- 準々決勝:対ナダル選手 1-3(2-6 6-4 2-6 6-7(4-7))
グランドスラム開幕戦・全豪オープンでは、コロナワクチンの摂取などの規定により出場が認められなかった元世界王者のジョコビッチ選手ですが、今大会では4回戦まで危なげない試合運びを見せてくれました。しかし、準々決勝では今大会の覇者となったナダル選手に4時間に及ぶ熱戦の末惜しくも敗退、ベスト8で大会を終えました。同級生のこの2人の試合は一瞬の気の緩みが試合結果に直結するため、観戦する私たちも緊張してしまうほどで、今大会も同様の試合を見せてくれました!
注目選手②ラファエル・ナダル選手(スペイン)
- 1回戦:対トンプソン選手 3-0(6-2 6-2 6-2)
- 2回戦:対ムーテ選手 3-0(6-3 6-1 6-4)
- 3回戦:対ファン・デ・ザンスフルプ選手 3-0(6-3 6-2 6-4)
- 4回戦:対オジェ アリアシム選手 3-2(3-6 6-3 6-2 3-6 6-3)
- 準々決勝:対ジョコビッチ選手 3-1(6-2 4-6 6-2 7-6(7-4))
- 準決勝:対ズベレフ選手 不戦勝(7-6(10-8) 6-6)
- 決勝:対ルード選手 3-0(6-3 6-3 6-0)
決勝戦は、ファーストサーブ得点率が86%、セカンドサーブ得点率が53%と驚異的なスタッツで勝利しました。4回戦のアリアシム戦は、前年まで全仏オープン未勝利だった若手有望選手に終始押され気味でしたが、スイッチが入ったように要所を抑える戦いを見せ、ファイナルセットはさすがの試合展開で勝利を掴んでいます。
注目選手③アレクサンダー・ズベレフ選手(ドイツ)
- 1回戦:対 S.オフナー選手 3-(6-2 6-4 6-4)
- 2回戦:対 バエス選手 3-2(2-6 4-6 6-1 6-2 7-5)
- 3回戦:対ナカシマ選手 3-0(7-6(7-2) 6-3 7-6(7-5)
- 4回戦:対Z.ミラージェス選手 3-0(7-6(13-11) 7-5 6-3)
- 準々決勝:対アルカラス選手 3-1(6-4 6-4 4-6 7-6(9-7)
- 準決勝:対ナダル選手 途中棄権(6-7(8-10) 6-6)
準決勝のナダル選手との試合は、セカンドセットの途中にスライディングをしながらボールを取ろうとしたところ、うまく滑ることができずに右足首を捻ってしまい、無念の途中棄権となりました。ファーストセットが90分以上、セカンドセットも6-6という拮抗した試合で、いくつも勝利のチャンスがあった中での途中棄権ということで非常に惜しい試合でした。しっかりと怪我を治して、また素晴らしい試合を見せてもらいたいですね!
注目選手④カルロス・アルカラス選手(スペイン)
- 1回戦:対ロンデロ選手 3-0(6-4 6-2 6-0)
- 2回戦:対ラモス=ビノラス選手 3-2(6-1 6-7(7-9) 5-7 7-6(7-2) 6-4)
- 3回戦:対 \コーダ選手 3-0(6-4 6-4 6-2)
- 4回戦:対ハチャノフ選手 3-0(6-1 6-4 6-4)
- 準々決勝:対ズベレフ選手 1-3(4-6 4-6 6-4 6-7(9-7))
現在19歳のアルカラス選手は、史上9番目の速さで世界ランキングトップ10に入った逸材です。今シーズン、すでにマスターズ1000大会で2度優勝しており、そのうちマドリードオープンでは、ナダル選手とジョコビッチ選手を同一のクレーコートの大会で破るという、これまで誰も成し得なかった偉業を達成しています。
今大会は準々決勝でズベレフ選手の前に敗れてしまったものの、スーパーショットも多く、近い将来グランドスラム制覇にも非常に大きな期待を持たせてくれる試合でした。今後の大会では、最も注目される選手の1人となることでしょう。
有力選手⑤ダニール・メドベージェフ選手(ロシア)
- 1回戦:対バグニス選手 3-0(6-2 6-2 6-2)
- 2回戦:対ジェレ選手 3-0(6-3 6-4 6-3)
- 3回戦:対キツマノビッチ選手 3-0(6-2 6-4 6-2)
- 4回戦:対チリッチ選手 0-3(2-6 3-6 2-6)
2月に初めて世界ランキング1位となり、活躍を見せてくれています。実は、全仏オープン直前に右肘の手術を受け、出場自体も危ぶまれていたベドベージェフ選手ですが、3回戦までは手術明けとは思えない程の試合を見せてくれました。4回戦でトップ10の経験をもつチリッチ選手(クロアチア)の前に残念ながら敗退となりましたが、やはり期待感のある存在であることは間違いないですね。
最後に
ナダル選手がグランドスラム最多22勝目に輝き、幕を下ろした2022年の全仏オープン。日本人選手にとっては苦しい大会となりましたが、若手有望選手の台頭などもあり、今後のグランドスラムを観戦するにあたって、非常に有意義な大会ともなりました。今後のテニス界の勢力図がどのように変化していくのか、注目していきましょう!